折れない心

何度も敗北を味わってきた筆者が挫けずに試験勉強や語学を頑張ります。現在は資格試験(英検1級、TOEIC)対策も含めて英語の勉強に取り組んでいます。

Yuubariの読んでよかった本(その8) 『ナイルパーチの女子会』

柚木麻子さんの『ナイルパーチの女子会』

 

「読んでよかった本」というカテゴリーにしていますが、読後に感じた率直な意見としては「嵐のような小説」でした。

 

個人的にはどうにも傑作とも駄作とも言い難いモヤモヤした作品でしたが、人間関係に自信が無い人には局所的に刺さるであろう極上の毒を感じました。

 ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

 

 総合商社で働く優秀なキャリアウーマンの栄利子と特に目的もなく日常をのんびり過ごすちょっとした有名ブロガーの主婦の翔子がとあるきっかけで出会います。

2人ともアラサーで年齢も近く、生活様式は全く異なるもののお互い自分に無い価値観を持っている点に惹かれてすぐに意気投合します。

そこまでは展開的に安心して読み進めていましたが、途中から2人の仲に亀裂が走りそれをきかっけに平凡ないつもの日常が音を立てて崩れ落ちていく様が読み応えあります。

 

一般的に社会人になってできた新しい知人は「この人とは価値観が合わないな」と感じたら、たいてい自分から離れていけば済みますが(職場や所属する団体の集まりでしたらそうもいかないときはありますが)、今まで友だちが1人もできたことがない栄利子は翔子が自分から離れていくことに納得できず、異常な行動に出ることに・・・・

 

そこからは嵐のような激動の展開で栄利子や翔子が翻弄されていくのですが、人間の病んだ暗い本質をえぐるような細かな心理描写が光ります。

自分では気づかないうちに精神的に追い詰められてエキセントリックな行動に出る様は読んでいて本当に苦しい。

「こんな異常な人間は自分とは無関係」とすっぱり切り捨ててしまえばそこで終わりですが、誰しもが多かれ少なかれ抱えている闇に共感してしまうかもしれません。

ただし、異常な行動ひとつひとつに本人なりの理屈を以て心理が語られるがとても面白かったです。

異常なくらいの分量のメールを相手に送るのも相手の気持ちを無視して「友だちなんだからすぐに返信するのが当たりまえだよね」という心理が描かれると、共感はせずともどういう理屈で栄利子が行動しているのかよくわかりました。

 

作品全体でみると、中盤以降はただただ痛々しくて正直胃もたれしました。

またいくらなんでも狂気すぎる真織さん(主人公と同じ職場で働く派遣社員の女性)の言動にはちょっと醒めてしまいました^^;

 

野心的な挑戦に溢れた作品でしたが、名状しがたい「狂気」をはらんだ作品なのでメンタルが弱っている方には勧めません。

好き嫌いが分かれそうな作品なので、諸手を挙げて人に薦めることはできないですが強烈なインパクトが残る小説でしたのでここに載せてみました。