折れない心

何度も敗北を味わってきた筆者が挫けずに試験勉強や語学を頑張ります。現在はAWS認定ソリューションアーキテクト[アソシエイト]に向けて対策を取り組んでいます。

Yuubariが最近ハマっている漫画5選(その10)

相変わらず Yuubariはなにかと忙しい日常の息抜きに漫画を読むことで癒されています。

日本では本当に毎月毎月物凄い数の漫画が発表されていますが、時間は有限なので取捨選択して自分好みの漫画を探すことで妥協しています。

この悩ましい妥協の中から選んだ Yuubariがここ最近注目している作品(既に話題になっている作品ばかりですが)を5つ紹介します。

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女の園の星』

女子高の男性教師が主人公なのに恋愛要素は皆無。女子生徒からみた男性教師の観察記録の味わいがある作品です。

この作品はシリアスな要素は皆無でどちらかというとコメディに近いジャンルに分類されると思いますが、無理に笑わせにくるわけでもなくとても自然体に女子高の様子を描いています。生徒と先生の絶妙な距離感が地味にリアリティがあり、あふれる日常感とそこからわずかに逸脱したシュールさがとてもYuubariのツボにハマりました。

決して派手ではない通好みのこういった漫画が『このマンガがすごい!2021』に選ばれるのは、漫画という表現方法の好みの多様性を感じさせてくれます、。

一般的にユーモアというのものは千差万別のセンスに由来するので、この作品も万人にオススメできる部類の作品では無いかもしれませんが好みにマッチするとスカッと笑える作品です。

和山やまさんの他の作品『カラオケ行こ!』『夢中さ、君に。』も独特な世界観の上に構築された個性の強い作品で、とても自分の好みに合って良かったです。

 

 

『作りたい女、食べたい女』

作品のタイトルにもなっていますが、主要な登場人物が両方が女性なのがポイントかなと思います。

かつて「私作る人、僕食べる人」というCM(女性が料理を担当し、男性がそれを食べる)が放送されてジェンダーの観点から大批判を受けてCM放送中止になった事件があったそうですが(昭和50年頃)、それから半世紀近く経ってとても自然な形で「料理を作るのも食べるのも女性」という形で受け入れられたと感じるタイトルに思えます。

でもね、このタイトルの何が良いかと言うと「作りたい」「食べたい」だから良いんです。

強制されているわけでもなく自分の自然な欲望として「料理したい(食べたい)」だからとても主役2人の関係がほんわか暖かく感じます。

読み進めるとわかりますが、この作品はとてもジェンダーの問題に根ざした作品であることがわかります。

といっても声高に日本における性差の問題を訴えるような作品ではなく、美味しい料理を食べながら不器用だけどとても自然な形でキャラクターがジェンダーギャップに悩む心情が吐露されるシーンが印象的です。

この部分については好き嫌いが別れるかもしれません。単純に料理漫画として期待して読んでいた読者がちょっと想像からはずれていくのですが 、Yuubari個人としてはお互いが素直に尊重し合える(それでいてもどかしい)関係にほっこりしています。

料理そのものを楽しむタイプの漫画ではないかもしれませんが(それでも美味しそうな料理がたくさん出てきてテンション上がりました)、「食」を通して癒しあえる関係はとても素敵だと感じました。

 

 

『青野君に触りたいから死にたい』

恋愛要素・ホラー・コメディが良い具合にブレンドされた不思議な作品です。

若くして死んでしまった恋人(青野君)が主人公の前に幽霊として現れ、序盤は幽霊との恋愛の模様が描かれますが次第時に不穏な展開になっていき驚きました。

夜中に一気読みしたのですが、日常が次第に霊に浸食されていく様子で可愛い絵柄とは裏腹にとても背筋がゾクッとするホラー描写がとても印象的でした。

ホラーといってもスプラッターな要素はあまりなく、どちらかというと精神的に迫ってくるような心理描写が見事でした。

特に恋人である幽霊の青野君の二面性の描写は圧巻です。物語が進むにつれて次第に幽霊の青野君の髪が長くなっていく描写は青野君の変貌を暗示していくようでとても気になりました。

恐怖だけではなく人が抱く家族を喪失した哀しみや愛の儚さ、他人から共感されない苦しさ、逆に無償の友情により救われる魂など「人間」という存在を幽霊を通して多面的に描いている読み応えのある個性的な素晴らしい作品でした。

 

 

『大ダーク』

宇宙を舞台に繰り広げられる壮大なバトル・・・ですが、絵柄からは信じられないくらいの「ユルさ」に驚くと同時に読み進めていくうちに不思議と癒されました。

林田球先生の『ドロヘドロ』のアニメ版を見て「こんな独特の世界観を表現している人がいるんだ」とショックを受けて、いま連載中の同じ作者さんの『大ダーク』を読んでみたのですが、期待に違わない個性全開の魅力的な作品でした。

奇怪な骸骨が相棒だったり(闇のニーモツ)、無数の宇宙人の遺体から骸骨を抜き取って素材として売ったり、わけのわからない宇宙人と身体がバラバラになるような血まみれの残虐なバトルが繰り広げられたり、とパッと見はとてもグロなのですが不思議なことに読み進めていくうちにキャラクターに愛着を感じ始めました。

そして「一体どこからこんな発想が生まれてくるのか?」という林田先生の爆発的なイマジネーションの力に圧倒されました。

この唯一無理の狂った世界観を作り上げる発想力と謎の面白さ!

ストーリーとしてどこに向かっていくのかはっきりわかりませんせんが、それでいて読んでいてとても面白いから凄いです。

Yuubariの中で「漫画を読んでいて面白いって思える感情はどこから来るのだろう?」という原初的な疑問がふと立ち上がってきましたが、そんな疑問がどうでもよくなってくるような荒唐無稽なユーモアが光る作品でした!

・・・でも読む人を選ぶ作品だとは言っておきます。

 

 

『たそがれたかこ』

入江喜和先生の作品は以前『ゆりあ先生の赤い糸』も紹介したことがありますが、こちらの『たそがれたかこ』もとても良かったのでお勧めしたいです。

『ゆりあ先生の赤い糸』と同じく中年女性が主人公(45歳バツイチ)。

思い通りにいかない人生で、いろいろな困難に向き合いながらもその中でも楽しみを見出して前を向き変わっていく姿がとても刺さりました。

後悔やコンプレックス、不登校気味の娘への負い目を抱えながらも近しい人々から励まされたり新しい楽しみを見出したり自分らしさを不器用に見出していくのですが、決してすべてハッピーエンドというわけではなくビターな終わり方をする描写もあります。

正直言って本当に世知辛い困難や心理的に辛い描写(精神的な意味で痛々しい)がたくさん描かれているので、もし自分中高生だったら読もうとも思わないし・読んでも共感もできなかったかもしれません。

そういう意味では読者のターゲットがだいぶ絞られてしまいますが、少しでも「私の人生ってなんだろう」と振り返って考えたことがある人は読んでいて共感して内省的な気持ちにさせられるかもしれません。それと同時に「何かを新しく始めるには無駄なプライドを取っ払えば年齢なんて大した枷(かせ)にはならないんだ」という勇気ももらえるかも。

人間の複雑な感情をとても丁寧にかつヘビーに描いた素晴らしい作品でした。

 

 

ほかにも最近読んだ作品としては『チ』や『ダーウィン事変』も社会派でとても読み応えがある素晴らしい作品でした。

漫画を読む時間が足りない!