折れない心

何度も敗北を味わってきた筆者が挫けずに試験勉強や語学を頑張ります。現在はAWS認定ソリューションアーキテクト[アソシエイト]に向けて対策を取り組んでいます。

プロジェクトマネージャ試験の練習論文(2)

先日に引き続き、もう一本プロジェクトマネージャ試験の対策で去年書いた練習論文を掲載します。
こちらはサプライヤ管理のテーマで書きました。

平成27年午後2の論文で出題されたこちらについての論述です。

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(注意)
・Yuubariが本試験のときに書いた論文(いわゆる復元論文)ではありません。あくまで本試験前に練習で書いた論文の一つです。
・内容的に至らない点は多々あるかと思いますがご容赦ください。「このレベルで合格できるんですね」とは思わないでいたほうが良いかも。
・午後2試験(論述)の試験時間は2時間ですが、記述スピードが速いPCで作成したので1時間半以内に書きました。
・色で網掛けした部分は問題文で記載されている状況を充足するために書いた部分になります。

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1.プロジェクトの特徴および請負で調達した範囲とその理由
1-1.プロジェクトの特徴
 私は製造業を生業とするT社のシステム部に所属し、システム開発を担当するプロジェクトマネージャである。
当社ではこれまで他国と貨物を輸出入するための通関業務を他社に委託してきたが、 2019年1月初頭より自社で通関業務を行うことになった。そのため通関業務を行うための通関システムを2019年1月までに開発を完了させ運用を開始する。
 稼働が明確に決定されているため開発の遅れは許されない。開発は自社で行うものとしているが、自社のリソース・能力でまかないきれない部分については外部組織から調達することが役員会で認められている。

1-2請負で調達した範囲とその理由
 当社システム部にてこの開発を主導するが、当社システム部の課員3名ではこの1年間という限られた期間で全ての開発工程を担当して終えることができない。そこで外部・内部の仕様設計については当社システム部が担当し、システム設計・プログラム製造の工程については他社サプライヤに委託することになった。
 仕様作成については通関業務に携わることになる社員と連携を密に取る必要がある。そのため外部から調達するのはシステム開発の設計・製造に関わる部分に限定するということが決定している。
 他社サプライヤの選定については費用の妥当性および当社との取引実績からN国のD社が選ばれた。D社と結んだ契約は請負形式だが、請負で契約を結んだ理由は今回のケースでは成果物が明確であり開発に要する管理コストを減らしたいという目的があった。


2.進捗と品質の管理の仕組みの作成、および工夫した点
2-1.進捗と品質の管理の仕組みの作成
 2018年1月にプロジェクトキックオフミーティングが当社システム部の本プロジェクト担当者3名とD社開発部の開発管理者W氏との間で電話にて行われた。
 電話ミーティングで当社から確認したことは以下であった。
・プロジェクトの期間が2019年1月までと厳命されており延期できないこと
・毎週水曜日の午前10時から1時間当社システム部とW氏の間で進捗に関する電話会議を行うこと
 D社の連絡窓口はW氏とし当社の連絡窓口は私とし、連絡はメールで行い当社関係者を必ずCCに入れる。
開発の流れとしては当社システム部の課員がシステムの外部・内部使用を英語で作成し、部内レビューを経て私からW氏に送られる。W氏は仕様の内容を確認したあとD社開発要員にプログラムを作成させる。出来上がったプログラムが当社開発環境に遠隔通信で納品されて、当社システム部が単体・結合テストを行うという流れであった。
 開発が開始されて、2カ月目に入ったところ当社担当部分である仕様作成については予定通りに進んでいるがD社から納品されたプログラムの品質に問題があり、手戻りが発生しているという状況が増えてきた。
 私は、毎週のD社との電話会議でこの点についてD社W氏に原因を尋ねた。W氏によるとシステムの仕様書がお互いの母国語ではない英語で作成されているためD社開発部の要員の誤った理解・解釈でプログラムが作成されるといった問題があるということだった。
 仕様書はD社に送られる前に当社内でレビューされているので仕様を作成したSEの仕様ミスではなく、記述された言語の違いによるD社開発部要員側の理解の誤りにある。しかしながら細かいニュアンスの違いによる誤読はプログラムのバグではないため瑕疵担保責任としてD社に責任を押し付けることはできない

2-2.工夫した点
 毎週のミーティングでW氏よりD社開発部課員が仕様について不明な点があれば些細なことでも当社側に伝えてもらうよう私は依頼した。またW氏にはD社開発部課員がどうすればより当社から送付する仕様書を理解してもらえるか確認した。
 W氏には仕様に関してD社開発部課員が疑問に思ったことを「仕様内容質問一覧表」として毎週提出してもらい、当社としてはできるだけ早く仕様製作者(当社システム部課員)が返答するよう約束した。D社から当社への「仕様内容質問一覧」は週1回の頻度で提出されるが、返答についてはスピーディーに行うことで仕様の理解不足によるプログラム作成の手戻りを減らすことが狙いであった

 

3.進捗と品質の管理の仕組みの実施状況と評価、および今後の改善点
3-1.実施状況と評価
 「仕様内容質問一覧表」を用いることによりD社開発部要員のプログラム作成の品質は向上し、手戻りは以前の半分以下になった。また、D社側からの仕様についての質問が一覧で把握できるようになったことにより、当社の仕様作成者はどういう内容や記述方法がD社プログラム開発側にとって理解しにくかったり誤解を生みだしやすいか実感することが出来、仕様書自体の品質の向上にもつながった。
 結果として、システムが正式運用する2019年1月までに総合テストを経て無事リリースすることが出来た
問題点の把握・協議をサプライヤと早い段階に行うことにより、進捗遅れを防いでプログラムの品質を上げることが出来たことが今回の成功の要因だったと思う。

3-2.今後の改善点
 今回請負という形式をとったため、D社開発側と直接コンタクトを取る機会はほとんど無かったため開発担当者が苦労していた点、理解が及ばなかった点の把握に手間取ってしまった。
 週一回の電話会議を通してW氏より開発の進捗や状況に関する情報を得ていたが、先方の開発現場の状況をもっとよく理解するために開発初期に先方の同意のもと先方の開発現場を視察するなどしてサプライヤの置かれている状況をより理解するようにしたい。
以上
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サプライヤ管理は要員管理の次にYuubariが書きやすいテーマでした。
読むとお分かりかと思いますが、オフショア開発(海外での開発委託)を絡めた論述です。
Uchino会社では内製にしろ外製にしろ社内で使用するシステムの多くは海外の組織が開発を担当するため、実際にオフショア開発を依頼した経験がありその苦労話も交えて書いてみました。

 

論文としての出来はさておき、自分の経験を生かして書けたのはないかと思います。
「母国語言語の違いよる仕様書解釈の支障」が開発に影響するというのは論文ネタの一つとして用意していたので、本番の試験でサプライヤ管理が出題された場合には使う予定でいました。