Yuubariの読んでよかった本(その13)『本と鍵の季節』
米澤穂信さんの小説が文庫化されて出版される度にここで紹介している気がしますが、この作者さんの作品がYuubariにとっては本当に性に合いますし人におすすめしたい作品ばかりです。
『本と鍵の季節』はとある高校の図書委員を務める男子高校生2人の謎解きを軸としたミステリー短編集です。
「ふつうの高校生による謎解き譚」としてのミステリーの様式は米澤穂信さんの得意とするところで、古典部シリーズや小市民シリーズなどたくさんの魅力的な作品を上梓していますが、今回は男子高校生2人というのが異質でした。
2人とも探偵役ですが、異なる観点から異質なアプローチで真実に迫っていくやり方は読みごたえがありました。
友情と疑念、そして待ち受けるビターな後味が印象的で、どの短編作品も一本一本が質が高く最後まで楽しんで読めました。
今回は経済観念の違いがキーとなる鍵になる話が多いですが、そのあたりは好き嫌いが分かれそうです。
あまりにも身につまされて読んでいて苦しいと感じる方もいるはず。
ミステリーとしてというより小説家としての米澤穂信さんという作家の力量が存分に発揮されていたと思います。